診断までの道のりⅢ

診断までの長い道のりのパート3です。
いくら呑気な私でも、『普通じゃない』ことを認識せざるを得ない決定的な事件が・・・


 そんな楽しい幼稚園生活を送り始めた3歳の梅雨時に事件は起こりました。小雨の降る土曜日、私は用事があって実家が出かけ、家にはお父さんと子供3人がいました。私が帰った時、娘の二人はスイミングスクールに出かけ、お父さんと息子がいるはずでした。ところが、茶の間にはお父さんだけが、息子がいつも枕にしている“ごまちゃん”のぬいぐるみと一緒にお昼寝していました。「○○(息子)はどこ?」家中を探してもいません。玄関にはサンダルがありませんでした。
 慌てて二人で外へ飛び出して探しました。雨で流れが早くなっている用水路を見て、「もし落ちていたらもうダメかもしれない」という思いを打ち消しながら、一人で行きそうな所を考えて探し回りました。そんな私達の様子を見かけた近所の方が交番に知らせに行ってくださり、そこに保護されて、泣き叫ぶ息子がいました。
 少し離れた大通りの交差点の真ん中で泣いているところを、通りかかった方が車に乗せて、連れてきてくださったそうです。パトカーに乗って、パニックになっている息子が帰ってきました。

 なぜ、そんな行動をとったのか?『目が覚めた⇒お母さんがいない⇒お母さんの車がない⇒行った場所は知っている⇒行ってみよう』となったのだと思います。でも、普通3歳の子がそんな行動をとるでしょうか?一緒に寝ていたお父さんを起こすこともしないで、いきなり外へお母さんを探しに行くでしょうか?絶対おかしい!と確信しました。

 そしてもう一つ、かなり多動だった為に、日常的に困っていたのは危険認知がないことでした。幼稚園でも外へ出ると、車が来ていてもそれに向かうように走って行くことが、何度もあったようでした。家では階段の5段跳びをしたり、一番驚いたのは、窓の桟からのジャンプでした。2階の窓を開けてわずか10数センチの桟によじ登り、そこで体の向きを変えて部屋の中にジャンプしているのです。初めて見た時は心臓が止まりそうでした。(家の作りは1階と2階の間に屋根がなくて、外は一面の壁になっているので、落ちたらそのまま地面です。)
 でも、車に向かって走って行くことも、窓からのジャンプも、どれだけ注意しても一向に止めることはありませんでした。

 細かいことをあげたらキリがないくらい出てくる『普通の子』との違いは、いやおうなしに認識することになったのですが、それでもまだ病院へ連れて行こうとは全く思いませんでした。