とうとう4話目になりました。
でも、実はまだまだ長いです。
今日は初めて『自閉症』という言葉を直接聞かされた話です。
迷子になったその年の暮れ、風邪をひいた息子を病院の小児科に連れて行った時です。お腹も痛そうにしている息子にお医者さんが「ここ痛い?」と聞くのですが、当然答えられません。「しゃべれないのか?」と聞かれ、「3歳半か?ちょっと遅すぎるな」と言われました。「言語療法してみるか?」と、この病院でもできるとという“言語療法”を勧められました。
少し迷って、幼稚園の先生に相談に行きました。実はその直前にあった初めての表現会で、みんなと一緒に踊るどころか、舞台の上にさえ登ることができない息子を目にして、かなり落ち込んでいました。「少しでも話せるようになれば、みんなの中に入っていけるようになるだろうか?」と思い、先生の意見を聞きたいと思ったのです。「お母さん、それがKちゃんの為になるのなら、やってみましょうよ。幼稚園でもお手伝いできることがあれば、何でもします。」そう言って、私の背中を押してくれました。
最初に行った日に渡された検査用紙を家に帰って書き込むと、なんと出来ない事の多いことに改めて驚きました。その用紙をお渡しした時に、STの先生から「私はドクターではないので、診断はできないのですが」と、前置きした上で言われたのが「軽い自閉症」ということでした。
後になって思えば、それはあくまでも『言葉が遅い』ということに対しての原因として言われたことだったと思うのですが、その時の私には『自閉症』の文字だけが、真っ白な頭の中にくっきりと浮かび、何も考えられなくてショックでした。我が子が自閉症と言われた母親の全てがそうであるように、私も泣きました。寝床につくと涙があふれる夜を何日も過ごして、でも目の前にいる子が元気に飛び回っているのを見ると、こんなことばかりしていらないと思い、母親として何をしてやればいいのだろう?何をしなくてはいけないのだろう?と、やっと重い一歩を踏み出しました。
それから就学を迎えるまでの2年間、最初の1年は週に1回、後の1年は2週間に1回、言語療法に通い、すごい勢いで言葉は増え、三語文まで覚えたのですが、まだまだ「しゃべる」段階には至りませんでした。
普通なら、この段階ではっきりした診断が欲しいと奔走するのかもしれません。
確かに『自閉症』という言葉はショックでした。
心配なことは山積みです。
でもなぜか、不安はありませんでした。
確信はなかったけれど、今の生活を楽しくしてあげればそれでいい!
そう思っていました。
そして、いよいよ小学校の入学を迎える時期がやってきました。