視覚支援

 私が自閉っ子の親として大きく変身したのは、TEACCH研での事例検討のあとです。診断をもらった、手帳を手にした、本格的(?)に視覚支援を始めた・・・等々。
 視覚支援については、後から気付いたのですが、全く何も知らない時から“カレンダー=スケジュール”だけは取り組んでいました。それは、私自身のためだったのですが、月毎のカレンダーに月間スケジュールを色別(誰のものか)で書き込んで、ホワイトボードに週間スケジュールを個人別に書いていました。実はそれがKATにとっても、わかり易いものだった訳です。
 そうそう、なぜ本格的(?)に始めたのかというと、事例検討でのアドバイスに「100回言うより、1回見せろ!」という言葉を聞きました。そんなものかなぁ・・・と半信半疑でやってみたら、あらまあ!見事な効果でした。多分、それだけの理解力も付いた時期に始めたのも良かったのでしょう。それまでの、音声言語だけのやりとりでの、“伝わらないイライラとわからないイライラ”から、一気に解放されました。そして不思議なことに、KATから発せられる言葉が、堰を切ったように増えたのです。
 KATは3歳半から言語療法をしていて“三語文までの言葉をいっぱい覚えた”ことは以前にも書きましたが、“覚えた”だけで“しゃべる=使う”ことができなかったのです。それはきっと、言葉と意味がつながっていなかったとか、使う場面がわからなかったとか、そんな理由があったのではないのか?と思うのです。ところが、そこに文字で言葉を見せられるようになって、インプットされていた言葉が意味を持つようになり、「ここで使うんだ!」がわかってきたのかなと思いました。

 もう一つすぐに取り掛かったのが、コミュニケーションブックサポートブックです。
 コミュニケーションブックはKATにとっては一過性のものでした。ある程度必要な言葉を自分の思うままに言えるようなった後は、持たせてもどこかに忘れてくるだけで、本人が必要としなくなりました。でも、今でもコミュニケーションシートは家のテーブルに貼り、マグネットにして学校でも使ってもらっています。
 サポートブックは毎年誕生月に作り直し、更新しています。以前、ボランティアさんに預けた時、前もってサポートブックをお渡ししたら、とても感動していただけことがあります。本人が持ち歩くもの、学校に渡すもの、での予備(ボラとかに見せる)ものと、3つ準備することにしています。それから、サポートシートは中身を簡潔にして、必要事項だけを明記したもので、裏表の1枚にしてあります。これも、学校に渡すもの(A4)、私が常に持ち歩くもの(A5)と、2つ準備することにしています。そして、最新作のサポートカードは名刺サイズのものです。まだ使っていません。

 その後、完全に視覚支援の魔法にかかり、ボラさんとのお散歩コースの地図夏休みのスケジュール点滴の手順書意志確認カードソーシャルストーリー・・・etc、思いついたら作る、困ったことがあったら作る、心配になったら作る・・・気付いたら支援ツールがいっぱいでした!
 最初から、全てがKATにピッタリくるものではありませんでした。でも、いろいろ失敗も重ねるうちに、どんなものが良いのか少しずつわかってきて、はずれの確率が減りました。今では、KATが自分で書いたりすることもあるくらいです。作る方も使う方も慣れることが必要なんだと思います。

 そんな訳で、視覚支援のおかげで、快適な生活を手に入れたKAT親子でした!これからも、お金はかけずに、楽しみながら、いろいろ作っていくことだろうと思います。


2006/4/9