学校への要望

 息子は小学校と中学校では、地域の学校の特学に在籍だったので、新年度になって担任が決まると連絡をいただいて、始業式の前に必ず面談をしていました。その時に、母からこれから始まる一年の指導への要望も話してきました。
 今ちょうどそんな時期なので、何かの参考になればと思い、どんなお願いをしてきたのか思い出して書いてみようと思います。

小学1年生
・無理矢理教室のイスに座らせることはしないで、自分から座るのを待って欲しい。
 根拠はありませんが、そうする方が早く座れるようになると確信していました。何より、無理矢理やらせて拒否反応を起こしたら、二度と教室に入らなくなるかもしれないと思いました。結果は、GW前には座ることを覚えました。

小学2年生
・漢字は書けなくても良いので、読めるようにして欲しい。
 読めれば、パソコンで書けると思いました。同じく、無理矢理書けるように覚えさせて、拒否反応を起こしたら、書くのを嫌いになると思いました。
・九九はきっと好きだと思うので覚えさせて欲しい。ただ、皆と一緒にスタートだとどうしても遅れるので、個別授業の時に、皆より少し早めにスタートさせて欲しい。
 交流学級で九九の授業が始まった時には、息子にとっては『知ってる勉強』だったのでスムーズに入っていけて、皆と同じように九九のテストを受け合格していました。

小学3年生
・学校で毛筆の指導はしないで、個別で別の授業をして欲しい。
 書写に毛筆が入ってくるのですが、その頃すでに習字教室に通っていたので、指導が違うと本人が混乱するため。

小学4年生
・語彙を増やして、言葉の意味を理解できるような個別授業をして欲しい。
 順調にいろんなことができるようになる半面、コミュニケーション能力が伸びないことが明確になってきて、その頃のパニックのほとんどはそれが原因で起こっていました。特学の個別授業で、『言葉を体感』することをやってもらいました。

小学5年生
・電卓を使って、少し複雑な計算ができるようにして欲しい。
 算数の計算はずっと学年の進捗通りにやってきていたのですが、そろそろ難しくなるかなと思い、自力でできなくても、電卓を使ってできることを覚えて欲しい。電卓の『M』とか『%』とかを使いこなせるようになると、実生活にも役立つ。

小学6年生
・交流学級で皆と一緒にテストを受けられるようにして欲しい。
 中学校への進学を控えて、その先の高校受験のために、まずはテストを受けることを覚えて欲しい。特学で一人ですることから始め、最終的に交流学級で皆と一緒に同じテストを受ける。


中学校入学時
・可能である限り、全てのテストを交流学級で皆と同じものを受けさせたい。
・その為に必要な勉強は、特学の個別授業でして欲しい。
・普通高校受験の選択肢を残しておきたい。

修学旅行の時
・日中の活動は他の生徒と同様で構わないが、宿泊先の部屋割りは、生徒とではなく、先生と同室にして欲しい。
・USJでは、生徒同士のグループに入れず、先生が付き添って欲しい。
 先輩母たちに聞いたところ、自閉症の子が一番辛かったのは、一日中自分のペースがなくなることだったようでした。なので、せめて寝る時ぐらいは、他の生徒に気を使わず(他の生徒も息子に気を使わず)済むようにしてやりたいと思いました。USJも同様で、息子がアトラクションを楽しむことが難しいと思われ、そのせいで誰か他の生徒も楽しめなくなることはしたくなかったので、何度も修学旅行に行ける先生に犠牲になっていただきました。

他にも中学では、その度ごとにいろいろ話してきたのですが、漢字の書き順について「間違っているので直した方が良い」と言われた時
・小2から息子が習っている書道教室の先生曰く、「元々、字には書き順などなく、後々、書きやすいという理由で考えたものを、指導しやすいという理由で教えるようになったそうで、息子の字は、書き順にこだわらず、書きたいように書くからこそ、味のある字になるそうです。」と伝えました。


 特学には、普通学級での授業のような指導要綱があるわけではありません。特学での授業は、そこいる児童・生徒に沿ったものを、教師と保護者が作っていくのだと思います。その為に、『個別指導計画』というものがあるわけです。ただそこに、親の想いが子供の現実にそぐわないものだったり、教師に力量がなかったりという歪みが出てくるのです。
 親はしっかり子供を見極める必要があります。『幻想を捨てる 希望を持つ』
 そして、教師は・・・学ぶことを教える人が学ぶことを怠って欲しくないものです。


2014/3/31