診断までの道のりⅠ

息子が正式に『自閉症』の診断をいただいたのは、小学校4年生の冬でした。
かなり遅い診断です。
しかし、それまで障碍を受け入れなかったわけではなく、辛い毎日を過していたわけでもありません。
息子の診断までの道のりは、おそらく他の誰とも違っているだろうと思います。
話せばすっご~く長いので、とりあえず第1弾は“0歳~入園前”の様子です。

 

 女の子二人の後に生まれた、待望の男の子でした。三人の中で一番良く飲み、良く寝る、とてもおりこうな子でした。ハイハイが始まって、動きが激しくなってきても「男の子だもの」、歩けるようになったと同時に走り回ったのも「やっぱり男の子は違う!」と思っていました。
 確かに「ダメ!」と言っても全く通じないし、動いている時は一瞬でも目が離せない程大変でしたが、一人遊びを始めた時は、放っておいても静かに遊んでくれていたので、楽な子だと思っていました。
 この時期によく言われる、自閉症児特有の“抱っこを嫌がる”とか“視線が合わない”ということは、全く感じませんでした。ただ、つたい歩きの頃、灰皿のタバコの吸殻を食べてしまったことがあり、医者に連れて行った時、「普通は苦くて飲み込まないものなんですが」と言われた記憶があり、後から考えると味覚障碍があったのかもしれません。

 1歳半健診の頃から「おかしいな」と思い始めました。一向に言葉が出てこない。その頃話していたのは「なぁな(バナナ)」と「んご(りんご)」だけでした。そして、上の子の経験から、何でも自分でやりたがる時期が必ず来ると思っていたのが、いつまで経っても来ませんでした。でも、それらも全て、「お姉ちゃんが二人もいる男の子だから、自分では何にもしなくていいと思っているんだ」ということで片付けていました。
 入園前にあった3歳児健診で、保健師さんから「話し言葉も遅いですが、言葉の理解も遅いようなので、聞こえているか耳鼻科で検査をしてきて下さい。」と言われました。それでも呑気な私は「耳は聞こえていると思うけど、もうすぐ幼稚園だし、無料で検査してくれるから行ってこようかなぁ」と軽い気持ちで検査に出かけました。
 結果は当然ですが「ちゃんと聞こえています。」そして「聴力に異常がなくて、言葉が出ないとなると知能障碍も考えられますが、そういう子たちはこういう場所(検査室)に連れて来られると、落ち着かなくて何をしても眠らない子が多い。こんなに落ち着いて眠ってくれて、しかも3歳前にオムツが取れているなら、それもあまり考えられないですね。」と話して下さり、検査の結果は「じゃあ、どうしてしゃべらないの?」の疑問だけが残りました。
 が、実はこの時「聞こえすぎている音域もある位です。」とも言われたのを覚えていて、それは聴覚過敏のせいだったのではないかと、自閉症の勉強をした後で気付きました。



まだ幼稚園に上がる前だったので、家族の中でとにかく可愛がられて育っていました。
第2弾は初めての集団生活=幼稚園時代のお話をします。